診療内容
外反母趾
外反母趾は、中高年女性の3割に多発する、母趾の変形性の疾患です。我が国では、戦後靴の生活が普及し、外反母趾が多発してきました。特に、先の細いハイヒールが外反母趾の原因であるとされてきました。
外反母趾の主要な原因は、先の細い靴の内側により母趾が圧迫されて変形するものです。
従って、これを予防・軽減するためには、靴の内側で母趾が圧迫されるのを防ぐことが重要です。
外反母趾の原因は,歩行時の足の前方辷りでの靴内壁の母趾の外反圧迫であると考え,ソールの鼻緒で母趾を固定する鼻緒靴を開発しました.

靴の先端で圧迫され、母趾の先端が外反していることが分かります。これが、外反母趾の主要な原因です。

鼻緒を付けたインソールを装着し、靴を履くことで、歩行時の足の前辷りによる母趾の圧迫を完全になくすことで、外反母趾を改善します。
母趾に余裕を持たせたオブリーク形状で、母趾側の空間を高く設計し、母趾の圧迫を防ぐデザインにしてあります。
こうした外反母趾改善靴を設計し、実際に外反母趾の女性17名に2つの実験を行い効果を確認しました。
最初の実験は、鼻緒ありと無しの靴で、それぞれ、1時間歩行を行い、下肢痛の比較をしました。2つ目の実験は、鼻緒靴約3ヶ月装着後の鼻緒有り 1時間歩行と症状変化を調査し各14名を解析しました。
その結果、以下のとおりです。

鼻緒ありの方が、明らかに母趾痛が減少しています。

鼻緒靴の方が、足底痛が明らかに減少しています。これは、外反母趾の人が母趾の変形で、母趾が使えず、
中趾の足底で地面を蹴って歩くのが、鼻緒靴で母趾を使用して親指で地面を蹴って歩くように変化し、足底痛が軽減したものと考えます。

第1回に比して、第2回の母趾痛が軽減しており、鼻緒靴の装着に慣れて、歩き方が改善して、母趾痛がほとんどない状態になったと考えられます。
(n=14)

第1回実験前では、11名が歩行60分以内に、足の痛みを訴えていたが、第2回実験前では、1名のみに激減しており、78.5%では、歩行時の痛みを全く訴えなくなっています。


まとめ
3ヶ月の鼻緒靴の装着により、歩行時の足の痛み、たこ、魚の目、爪の変形などの改善が見られました。これらの結果から、鼻緒靴の装着は、外反母趾による痛み等の症状の改善に有効であることが示されました。