診療内容

新経絡医療の概要―統合医療について

当院では、東洋医療と西洋医療の得意な方法を組み合わせて、日常的な腰痛やひざ関節症から脊柱管狭窄症や発達障害・認知症までの幅広い病気を対象に治療を行います。こうした2つの医療を組み合わせた治療の方法を「統合医療」と言います。統合医療は、1980代後半から、欧米で急性の病気に強い西洋医療に慢性の病気に強い東洋医療を組み合わせて行われるようになり、現在では欧米や日本でも広く普及している医療の方法です。
具体的なイメージとしては、西洋医療で病状を診断し、東洋医療を中心に治療を行います。
友和クリニックで行っている東洋医療(新経絡医療)の具体的な中身は、図2に示すとおりです。新経絡医療は、針の一種である押し棒でツボを押す新経絡治療をメインに、これに環境を改善する人間工学的対策・動きを促進する運動、肥満・糖尿病などを解消する糖質制限および漢方薬の4つ治療を組み合わせて行います。以下では、新経絡医療について詳しく説明します。

新経絡治療の様子
図1.新経絡治療の様子:押し棒で、手足のツボを刺激して症状を改善します。

新経絡治療

新経絡治療は、エネルギー治療の一つです。体の細胞に活性エネルギーを供給する血液、リンパ液、生物電気の流れが外傷・椎間板ヘルニア・ウイルスなどの炎症や抑うつ気分などで停滞すると細胞の活力が低下し、様々な病気が起こります。これらのエネルギーの詰まりを、ツボを押すことで解消して病気を治癒に導きます。
体を冷やして血流が悪化すると、「万病」を引き起こします。血液は、体の細胞に必要な酸素・栄養やホルモンなどを運んで、その修復や再生をします。リンパ液は、リンパ球という白血球を含みリンパ管にあるリンパ節と共同して細菌・ウイルス・異物から体を守る免疫作用があります。
生物電気は、神経の情報の伝達と同時に、細胞に活性エネルギーを与える重要な役割をしています。
人は、脂質やブドウ糖などの栄養素を燃焼させて、平均100W程度の生物電気を発電し、全身に巡らしています。これが、鍼治療でいう「気」の実態と思われます。この生物電気の流れが詰まり、患部に停滞すると自然発火を繰り返し、脳に電気パルス(律動波)を放電し、これが慢性の「痛み」として自覚されます。また、生物電気の停滞は、血管やリンパ管を収縮させ血流低下やリンパ流の低下を引き起こし、様々な病気の誘因となります。
新経絡治療は、生物電気の詰まりを解消して、血液・リンパ液・生物電気を全身にめぐらせ、細胞の修復・再生を促進します。
新経絡治療は、細胞の修復・再生のエネルギーを調整することにより多くの難治性の痛みや難治性の病気、発達障害など中枢神経の病気を改善することができます。

 

漢方: 薬草を組み合わせた漢方薬は、慢性病に優れて効果を発揮します。疲労、風邪、せき・たん、不眠、いらいら、肩こり、頭痛、生理痛、顔のほてり、便秘、下痢、炎症性の痛み、下肢のむくみ、冷えなどに特に有効です。

東洋医療(新経絡医療)の構成
図2.東洋医療(新経絡医療)の構成

治療の流れ

それでは、腰痛を例に挙げて、具体的な治療の流れをお話しします。
腰痛で患者さんが受診された場合には、

1)
病態診断
①西洋医学的診断: 
腰痛検査、血液検査、レントゲン・MRI検査で痛みの原因を探る。
➁経絡医学診断 : 
経絡の詰まり部位の診断を行い、ツボを選定する。
2)
食事環境診断
炭水化物や砂糖の摂り過ぎをチェックし、糖質制限により腰痛の原因となる肥満の改善や脊柱管狭窄症の原因となる腰椎の靭帯の骨化(黄靭帯骨化症と言います)の進行を防ぎます。
3)
作業環境診断
腰痛の原因となる重量物、中腰などの不良姿勢、長時間坐位などをチェックし、人間工学による作業姿勢や作業改善指導で治療効果を高め、悪化・再発予防します。

病態診断として、腰痛検査、血液検査、レントゲン・MRI検査、食事、作業環境の診断で腰痛の原因を探り、経絡の詰まりに応じたツボを選び新経絡治療で痛みを解消します。そして、肥満が影響する場合は、食事を調べて糖質制限や運動で肥満を解消します。作業環境に問題がある場合は、作業の負担軽減の工夫を助言し、必要に応じて腰部保護ベルトや傾動クッション(坐位時の腰の動きを促す作用)や寝返り促進布団の使用を助言します。
このように、新経絡医療は、西洋と東洋医療の総合的な診断・治療を行うことで、多くの慢性の病気を治すことができます。

疾病別の説明

新経絡治療は、表1に示すような多くの病気の治療に有効です。このなかで主な病気の治療について説明します。

難治性疼痛疾患帯状疱疹後神経痛、CRPS(外傷性疼痛症候群)、脊柱管狭窄症、頸肩腕障害、胸郭出口症候群、手根管症候群、へバーデン結節、関節リウマチ、三叉神経痛、梨状筋症状群、脊椎圧迫骨折、片頭痛など
難治性中枢疾患学習障害、発達障害、ダウン症、認知症、うつ病、MTBI(軽度外傷性脳損傷)、高次脳機能障害、パニック障害、自律神経失調症、脳性麻痺、脳卒中、脊髄小脳変性症など
難治性局所疾患めまい、耳鳴り、難聴、アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症、糖尿病、顔面神経麻痺、股関節症、近視、飛蚊症、網膜色素変性症、眼精疲労、視野欠損など
表1.新経絡治療の適応疾患