診療内容

帯状疱疹後神経痛

図4-1. 2022年8月出版の帯状疱疹後神経痛の本

帯状疱疹後神経痛は、胸腹部や手足の末端の神経痛であるとともに脊髄や脳に痛みが記憶される神経痛です。この痛みの記憶は、帯状疱疹の発症後、痛みが続くと、最短3週間で痛みが脊髄に記憶されます。そして、時間が経つほど、痛みの記憶が強固になり、治りにくくなります。
そのため、帯状疱疹後神経痛には、末端の神経痛の治療だけでなく、脊髄・脳の神経痛にも効果を発揮する新経絡治療が適切な治療となります。
帯状疱疹後神経痛は、CRPSという複合性局所疼痛症候群と並び痛みが記憶される最も難治の神経痛の一つであり、西洋医学では有効な治療はありません。そのため、多くの人が痛みを抱えて苦しんでいます。

最初の治療事例

治療事例1

最初の治療例は、70代の男性です。
当院の治療を知った娘さんから、父親が帯状疱疹の痛みで苦しんでいるので、ぜひ治療をお願いしたいと連絡がありました。左側背部~胸部・腹部にかけて痛みがみられました。2008年3月の発疹が出たため、皮膚科を受診しました。抗ウイルス薬を内服して発疹は改善しましたが、痛みが取れないため、麻酔科を受診し、左胸部帯状疱疹後神経痛と診断され、3週間入院しています。
治療により少し痛みが取れましたが、痛みのために眠れない状態が続いたため、病院では後遺症を覚悟するように言われました。

同年6月、当院を受診しました。発疹からすでに3ケ月経過し、難治の帯状疱疹後神経痛に進行した状態でした。左腹部には、帯状疱疹の痕があり、腹部を締め付ける痛みのため不眠が続き、左の背中の強い痛みが残っていました。
2回の新経絡治療で、痛みが少し軽減し、6回の治療で背中の痛みがさらに軽減し、7回の治療で腹部の痛みが改善しました。
痛みがひどくテレビを観ることができない状態でしたが、9回の治療で痛みが半減し、テレビを視聴できるようになり、旅行に行きたい気分と話されました。25回の治療でほぼ痛みが解消し、治療を終えました。

このように、新経絡治療は、帯状疱疹後神経痛に苦しむ患者さんの痛みを解消する治療です。その後、多くの帯状疱疹後神経痛の患者さんを治療してきましたが、難治の神経痛が速やかに改善します。

まず最初に他の治療症例を説明してから帯状疱疹後神経痛の仕組みについてお話しします。

他の治療事例

治療事例2
狭心症後の帯状疱疹後神経痛
主訴
左側胸部の痛み
病歴
12月、総合病院に狭心症で入院。退院後、12月28日左胸部に痛みと発疹。年末の休診のため、1週間後の1月5日に受診し、帯状疱疹と診断され、抗ウイルス薬を投与される。発疹は改善したが、その後2年間、胸部の痛みがとれずに続いている。現在、脳神経外科にて、テグレトール(抗てんかん薬・鎮痛に使用)を内服している。当初の痛み評点(VAS)は、10/10の痛みが、現在VAS 3~4/10残っている。ヒリヒリ、ピリピリした痛みが続いている。
既往歴
2005年~狭心症にて、入退院を繰り返す、ステント複数留置中。
発症要因 狭心症手術後の免疫低下での帯状疱疹の発症と、年末休診での初期治療の遅れによる神経痛の誘発と推定されます。
発症~新経絡治療までの期間
2年3ヶ月
図4-2.左胸部の帯状疱疹後神経痛
図4-3.疼痛部位
治療経過
1回目治療
少しピリピリが軽くなる。
1回治療後
治療2日後に元気になる。しかし草抜き等庭仕事を7時間し調子が悪くなる。
8回治療後
経過良好。
9回治療後
痛みが低下する。
10回治療後
VAS 2/10に改善。左腕で胸部をかばうのがなくなる。
15回治療後
帯状疱疹痛が気にならない時がある。時々痛む程度。
17回治療後
VAS 1未満/10になり、略治に至る。
まとめ
初期治療が遅れて、帯状疱疹後神経痛になった症例。発症後、2年3ヶ月にわたって、痛みが取れない。新経絡治療18回で、略治した事例です。
治療事例3
糖尿病に併発した肩の帯状疱疹後神経痛の事例
主訴
10分に3-5回、肩の電撃痛がある。
病歴
3年前から糖尿病で内服治療中(HbA1c 6.2) 。今年3月に2人の孫を面倒みる。その後、子供の家族の宿泊などで負担がかかる。4月下旬、左肩の痛みと発疹が出る。4月26日、皮膚科を受診、帯状疱疹と診断される。抗ウイルス薬のアメナリーフを内服するも、痛みが持続したため、5月6日、ペインクリニックを受診した。
プレガバリン(リリカ)75mg 2T(2)、トラムセット配合錠 8T(4)(最大量)を5月6日-7月4日まで2ヶ月間、内服するが、効果は限定的で、これ以上は改善しない。
嗜好品:アルコール:缶ビール1個と酒2合。運動習慣:毎日1.5時間のウオーキング。
既往歴
3年前から糖尿病治療。2年前に、右目の白内障手術。
発症要因
糖尿病による免疫低下と、孫の世話等の疲労が誘因で、帯状疱疹を発症したと推定される。
発症から新経絡治療までの期間
2.5ヶ月
図4-4.疼痛部位
図4-5.新経絡治療前と後の胸と肩の帯状疱疹の皮疹の比較。治療により皮疹が消失しています。
治療経過
1回目治療
肩の痛み軽減した。
1回治療後
肩の深部の痛みが軽減する。肩の痛い部分を摩ることがなくなる。
10分間に3~5回、ピリッと電撃痛が走る。
2回治療後
電撃痛が、30分に1回程度になる。
3回治療後
午前に農作業をした。痛みを気にすることが少なくなった。
5回治療後
疼痛評点VAS 5/10→ 2/10へ改善した。
9回治療後
VAS 1~2/10に軽減する。
14回治療後
痛みの範囲が狭くなる。
15回治療後
VAS 1/10以下になる。当院受診までは、トラムセット 4T/日→ 受診後は、2T/日に減薬している。
16回治療後
VAS 0.5/10になる。
17回治療後
糖質制限でHbA1C5.8に改善。略治となる。
まとめ
糖尿病と疲労に併発した肩の帯状疱疹後神経痛。糖質制限を併用した新経絡治療により改善しました。糖質制限が免疫の改善に大切なことを示しています。
治療事例4.
ハント症候群による顔面神経麻痺の事例

46歳女性

主訴
左顔面神経麻痺、左口角からスパゲッティが溢れる、左まぶたが閉まらない(兎眼)、額に皺がよらない。
病歴
今年3月、大学病院耳鼻科にハント症候群の診断で入院した。左耳介~頭部に皮疹を認め、抗ウイルス剤およびステロイドの全身投与を受けた。難聴、眩暈はありません。退院時の顔面神経麻痺のスコアは9/40で完全麻痺でした。40/40が正常を示します。同年4月から新経絡治療を行いました。
発症要因
立ち上がったばかりの会社で、PCインストラクタ-の仕事で夜遅くまで働き過労があった。お酒を飲む機会も多かった。
発症から新経絡治療までの期間
1.2か月後
図4-6.21回の新経絡治療で口のゆがみが改善しました。
治療経過
4回治療後
顔面神経麻痺のスコア13/40に改善した。
13回治療後
口の上がりが良くなる。
19~20回治療後
スコア 32/40に改善した。
21回治療後
口角の歪みが改善した。
22回治療後
スコア 36/40 (9割まで改善した)
23回治療後
スコア 38/40(正常)になった。
初診時は、顔面神経麻痺が強く、完全麻痺で口が歪んでいましたが、治療経過に示すように、新経絡治療で順調に顔面神経麻痺が改善しました。
まとめ
薬物治療後の顔面神経麻痺のスコアは、9/40であり、完全麻痺例と考えられましたが、新経絡治療を行い、38/40と麻痺を残さず治癒しました。ハント症候群などの顔面神経麻痺に、新経絡治療が有効なことが示されました。(平郡恵子医師・提供)

帯状疱疹・神経痛の原因と仕組み

図4-7. 帯状疱疹の仕組み

図4-7は、帯状疱疹の仕組みを示したものです。水痘(水ぼうそう)・帯状疱疹ウイルスは、ヒトヘルペスウイルスの仲間で、水疱瘡のウイルスと帯状疱疹ウイルスは、同じウイルスです。起こす症状が違うので、2つの名前がついています。ヘルペスは、小水疱が群がって生じた状態を指す病名です。
このウイルスは、主に5歳以下(90%)の幼児期に感染して、一旦治癒し、図4-8に示すヒトの脊髄神経節に潜伏します。
この潜伏したウイルスが成人になって疲労などによる免疫低下で再活性化し、皮膚に帯状疱疹を生じます。

図4-8. 脊髄の仕組み:脊髄神経節と脊髄後角

症状としては、ピリピリした痛みや皮膚のかゆみ・違和感などが数日から1週間くらい続き、赤いポツポツとした発疹が現れます。発熱や頭痛を伴う場合もあります。50代から発症率が上昇します。

帯状疱疹後神経痛の痛み

図4-9は、帯状疱疹後神経痛への仕組みを示したものです。帯状疱疹の痛みが長引くと20%くらいの人に帯状疱疹後神経痛を引き起こします。そして、痛みが、末梢神経、三叉神経、脊髄後角および脳の視床にも記憶されます。脊髄後角は、脊髄の後方にある神経細胞の集まりで、知覚神経がここに入ります。角のようにとがっているので、脊髄後角と呼びます。

図4-9. 帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛の仕組みと治療

図4-10は、神経痛を起こす仕組みを示したものです。神経節で増殖したウイルスは、皮膚まで下降して、帯状疱疹を起こすと同時に、神経を上行して、脊髄後角に到達して感染を起こし、脊髄後角の炎症を生じ、修復するために集まった小型の神経膠(こう)細胞(修復細胞)が分泌する神経栄養因子によって神経を新生させ痛覚過敏(いつも感じる痛みをさらに強く感じる)やアロディニア(異痛症/触った刺激を痛みとして感じる状態)を生じます。
帯状疱疹後神経痛は、神経自体が自然発火して痛みを生じる状態です。とても痛みが強く、ヒトによっては、20-30秒に1回の電撃痛が1日中繰り返す例もあります。痛みには、ヒリヒリする痛みや内臓を締め付けるような痛み、焼けるような灼熱痛があります。 このような帯状疱疹後神経痛の痛みの継続には、神経接合部の長期興奮状態(長期増強と言います)による痛みの記憶と、ウイルスによる脊髄後角の炎症後の痛覚神経回路の増殖が加わります。

図4-10. 帯状疱疹の皮膚の疱疹と脊髄後角の神経炎の仕組み

図4-11は、触刺激が痛み刺激に変わるアロディニアという不思議な痛みの仕組みを示したものです。ウイルスによる脊髄後角神経の損傷の修復のために集まる小神経膠細胞(ミクログリア)が産生する神経栄養因子が痛覚回路と触覚回路を結合する神経の発芽を強く起こすために、触刺激が痛覚刺激に変わります。アロディニアは、痛みの記憶を促進する原因にもなります。

図4-11. 皮膚の触刺激が痛みになるアロディニアの起こる仕組み
痛みの記憶

帯状疱疹を発症し、痛みが治まらず3~4週間を経過すると急性期に帯状疱疹から帯状疱疹後神経痛に移行しします。
移行する仕組みとして、痛みが脊髄後角に記憶されるためです。一旦痛みが記憶されると、治療に抵抗するようになり、発症からの期間を経るほど、難治度が強くなります。この移行期間は2週間~3か月と幅広い説がありますが、私は、神経痛の移行を確実に抑えるために、3週間以上を移行期間としています。

治療効果は発症からの期間に依存

帯状疱疹の「治りやすさ/治りにくさ」は、発症からの期間に強く影響されます。
大阪医科大学麻酔科ペインクリニック教授(論文の当時)の兵頭正義氏は、「発病来、1か月以上経過しても痛みがある場合、ヘルペス後神経痛(PHN)といわれる。・・・とくに発病後3ケ月以上を経過すると、神経ブロック療法を行っても、もはや良い成績を収めることができない。特に、発病後、1年以上の陳旧例では、神経ブロックを行っても、絶望的に良い成績は得られないとされている。」と述べています。
日本のペイクリニック創設者で東京慈恵医科大学麻酔科名誉教授の若杉文吉氏は、表4-1に示すように「帯状疱疹発症から治療開始までの期間が短いほど予後の経過が良く、その境界は6か月である」としています。「すなわち帯状疱疹発症から2週間以内であれば、完治略治率が90%であるのに対し、6か月を超えた症例では、略治率が10%に急激に低下する。」と述べています。若杉のデータでは、1か月から6か月以内でも、略治率は27.6%に低下しています。
このように、放置すると痛みの記憶が強固になり、より難治になりますので、早期の治療が必要です。

表4-1.帯状疱疹発症より治療開始までの期間と完治、略治率(若杉文吉)
2週間91.2%
1ヶ月間63.1%
6ヶ月間27.6%
1年間10.1%
3年間15.5%
5年間15.1%
5年間~11.1%

新経絡治療の帯状疱疹後神経痛の治療成績

帯状疱疹または帯状帯状疱疹後神経痛で受診し、新経絡治療を受けた患者50人のうち、データを満たす患者46人について治療成績を分析しました。内訳は、帯状疱疹後神経痛34人、急性期帯状疱疹の患者12人でした。
平均年齢は、58.2歳、女性63.1歳で、女性の年齢が高い傾向にありました。

表4-2. 帯状疱疹の病型
項目総計帯状疱疹後神経痛急性期帯状疱疹
n46(%)34(%)12(%)
ハント症候群4(8.7)4(11.8)0(-)
三叉神経4(8.7)4(11.8)0(-)
後頭神経4(8.7)4(11.8)0(-)
胸背部9(19.6)8(23.5)1(8.3)
上腹背部18(39.1)13(38.2)5(41.7)
下腹背部14(30.4)10(29.4)4(33.3)
腰背部下肢16(34.8)8(23.5)8(66.7)※
全身型1(2.2)1(2.9)0(-)

※p<0.05, 有意差を認める。(χ二乗検定 Yatesの補正)

表4-2は、石川博康らの分類に準じ、帯状疱疹の病型を示したものです。私たちは、腹背部を上腹背部と下腹背部に区分しました。これは、下腹背部よりも上腹背部型に難治例が多く、これを分離したためです。ハント症候群、三叉神経、後頭神経の患者さんは、全員が帯状疱疹後神経痛であり、これらの病型は、後遺症が残りやすいことを示唆しています。
最近(2023/3/17以降)の帯状疱疹後神経痛の17症例では、7名(41.1%)が胸背部、5名(29.4%)が顔面、3名(17.6%)が上腹背部の神経痛であり、この3か所で、88.2%と大多数を占めました。特に胸背部および顔面の帯状疱疹が難治性で後遺症が残りやすい傾向にありました。
新患と旧患の神経痛の51名を合わせると、上腹背部18名(35.3%)、顔面17名(33.3%)、胸背部15名(29.4%)であり、この3部位が帯状疱疹後神経痛の中心を占めました。

表4-3. 発症要因の分類
項目総計帯状疱疹後神経痛急性期帯状疱疹
n46(%)34(%)12(%)
疲労26(56.5)17(50.0)9(75.0)
不眠10(21.7)8(23.5)2(16.7)
紫外線の長時間暴露3(6.5)1(2.9)2(16.7)
肥満3(6.5)3(8.8)0(-)
糖尿病4(8.7)4(11.8)0(-)
免疫抑制関連薬剤8(17.4)7(20.6)1(8.3)
  アトピー/全身アレルギー2(4.4)1(2.9)1(8.3)
  ステロイド1(2.2)1(2.9)0(-)
  免疫抑制剤2(4.4)2(5.8)0(-)
  メルカゾール1(2.2)1(2.9)0(-)
  アスピリン1(2.2)1(2.9)0(-)
  悪性腫瘍1(2.2)2(5.8)0(-)
肝硬変2(4.4)2(5.8)0(-)
腹部手術、腹膜炎8(17.4)8(23.5)!0(-)
その他2(2.2)1(2.9)1(8.3)

!P <0.0898, 帯状疱疹後神経痛で、急性期帯疱疹に比して、多い傾向にある。(Fisherの直接確率法)

表4-3は、問診から推定された発症要因をまとめたものです。神経痛では、疲労が50%、不眠が23.5%、腹部手術・腹膜炎23.5%、ステロイドなどの免疫抑制剤が20.6%と多い結果でした。疲れや不眠が免疫を落とす最大の原因です。腹部手術も手術の負担により免疫を低下させます。アトピーやリュウマチなどのために免疫抑制剤を使用するのも大きな要因でした。
最近では、新型コロナ関連で免疫が低下して、帯状疱疹後神経痛になるケースも増えてきました。また、頻回のワクチン接種は過剰免疫を引き起こし、自然免疫が低下して、帯状疱疹になりやすいという指摘もあり、注意が必要です。
まずは、過労に注意することが肝要です。

表4-4. 患者全体に対する新経絡治療の効果
項目総計帯状疱疹後神経痛急性期帯状疱疹
n46(%)34(%)12(%)
大変改善34(73.9)22(64.7)12(100)
かなり改善10(21.7)10(29.4)0(-)
少し改善1(2.2)1(2.9)0(-)
変化なし1(2.2)1(2.9)0(-)
返って悪化0(-)0(-)0(-)
表4-5. 帯状疱疹後神経痛の発症~受診まで期間別の
新経絡治療の効果
発症からの期間著効有効やや有効無効
2か月未満22(88.0)2(8.0)0(-)1(4.0)25(%)
2~6か月6(75.0)2(25.0)0(-)0(-)8(%)
6か月以上6(46.2)6(46.2)1(7.7)0(-)13(%)
34(73.9)10(21.7)1(2.2)1(2.2)46(%)

表4-4は、新経絡治療の効果を示したものです。急性期帯状疱疹では、大変改善は100%でした。急性期帯状疱疹については、皮膚科の平郡恵子医師による330例の急性期帯状疱疹に対して抗ウイルス薬に新経絡治療を併用して、ほぼ100%、帯状疱疹後神経痛への移行を回避できたという報告があります。
新経絡治療は、急性期の帯状疱疹に極めて有効であり、抗ウイルス薬を併用すると速やかに回復することが分かります。
これまでの報告では、急性期帯状疱疹の約20%の人が神経痛に移行すると言われています。新経絡治療ではこれを回避できます。これは、とても大きな効果です。
次に問題となる帯状疱疹後神経痛に対する効果は、従来の治療の有効率が20%程度との報告が多い中で、大変改善が64.7%と高く、かなり改善29.4%を合わせると、94.1%と高いことが示されました。新経絡治療は、帯状疱疹後神経痛の有効な治療です。

表4-5は、発症からの期間を2か月未満、2~6か月未満、そして最難治の6か月以上経過した患者に区分した時の新経絡治療の効果を示したものです。
最難治の6か月以上の著効は46.2%、有効46.2%であり、併せた有効率は92.4%と高く満足すべき効果を認めます。
従来の治療では、帯状疱疹発症後、6か月を超えると略治率が10%に急減するとされており、今回の治療成績は、それを大きく上回るものです。

まとめ

新経絡治療の帯状疱疹後神経痛に対する効果は、発症からの経過の長いケースでも、従来の治療に比べて、十分に患者さんが満足される効果があります。また、体への負担がなく、急性期帯状疱疹の神経痛への移行を回避することができる優れた治療です。帯状疱疹後神経痛に悩んでいる人にお勧めします。

表4-6. 帯状疱疹後神経痛の治療小史
年代出来事
1975年頸肩腕障害・腰痛の鍼灸治療の開始
1987年楊占林医師より同経相応取穴を学ぶ
2000年痛みの記憶の講演に出会う
2002年新経絡治療の開始
2006年新経絡治療セミナー開始
2008年最初の帯状疱疹後神経痛の患者が来診、神経痛の治療開始
2011年日本新経絡医学会創設
2022年「帯状疱疹後神経痛を治す」出版

表4-6は、帯状疱疹後神経痛の治療に至る簡単な歴史を示したものです。1975年に職業病相談窓口で頸肩腕障害・腰痛の鍼灸治療を開始しています。1987年に中国の太原を訪問し、楊占林医師より手足のツボを使う、同経相応取穴を学びます。そして、2000年に、レザー鍼の講演で、日大の麻酔科の講師の講演で、痛みが記憶されることに出会います。これが、痛みが記憶される代表的な病気である帯状疱疹後神経痛に結びついていきます。
2002年に手足のツボを使う新経絡治療を開始します。2006年には、1人の先生に要望により新経絡治療のセミナーを開始します。2011年には、日本新経絡医学会を創設します。
そして、2022年に、「帯状疱疹後神経痛を治す」の出版につながります。